2018.9.16(日)その④ からのつづき。いよいよ最終章(ってどんだけ引っ張ったんや)。
長く続いた天候不順や山深さ、交通量の少なさ等が要因となり、舗装はされているが落石や濡れ落ち葉、樹木の枝が散乱する県道603号線。
でもまあね、三桁険道愛好家としては、それが普通の状態です。
クネクネ道の極狭コーナーを何十とクリアし、やっとこさ「水吞峠」にたどり着いた。
過去一度だけ、15年ぐらい前にローライダー(2000FXDL)で越えた峠だけど、もう記憶には残っておらず、初めて訪れる感覚だった。
トンネル前(大台町側)はこのように広場になっている。
そして紀北町側。トンネルの銘板は外れたのか苔に覆われたのかは分からない。
それにしても、雨上がりのアスファルトが乾いておらず、オートバイに乗り降りする時にも足元がツルツル滑って冷や冷やしたな。
いかにも滑りそうな路面でしょ?
でもね、こんな路面状態でもエレグラ(2010FLHTC)で走り抜けてきたからね。
大丈夫、大丈夫。
こうやって ↓ 道が川になってるしね。ここも歩いてみたら滑ったな・・・。
さあ、ここでやっと何回かに分けて書いてきた、タイトル通りの「あわや転倒!」の場面。
緑に彩られて轍になっているコケについては、当然目視で避けて通ることはできる。今までもこれからもその走法に変わりわない。
ただし、ただ「濡れている」だけのアスファルトについては、さすがにフルバンクはしないまでも、ある程度は車体を傾けてコーナーをクリアする。
それでも乾燥しているアスファルト上と比較すれば、そのバンク角は浅くて当然だ。スリップする確率が格段に高くなるから。
この日もコケや濡れた路面には細心の注意を払い、コーナーをクリアしていたのは言うまでもない。
ところが、である。
緩い下りのコーナーで、若干濡れた路面を注意しながら傾けたところ、全く予期せぬタイミングで急に前輪が右に滑った。
あっ!と思った瞬間に、今度はほぼ同時に後輪も右に滑った。
両輪がどのぐらい滑ったのか定かではないが、感覚的には両輪共に50cmぐらいずっりぃ~と持っていかれた感じがした。
そのまま両輪とも滑っていれば、自ずと転倒である。
しかし、滑った場所を過ぎるとすぐに路面が乾燥しており、オフ車のブロックタイヤでもすぐにグリップを取り戻した。
グリップを取り戻した途端、車体は左から右へ傾きを変える。
ハーレーに比べれば1/3程度の車重のスーパーシェルパ(2004)でも、急激な重心移動があれば、体重64kgの俺なんかいとも簡単に振られる。
両足がステップから浮き、ハンドルがガッガッガッガーと大きく揺さぶられて、制御が効かないそのままの状態で10mほど走行。
『これは転んだな。でも今日はスーパーシェルパ(2004)だから体にはプロテクターが付いている。転んでも大したケガにはならないだろう。』
風景がスローモーションになり、なぜか冷静に考えることができた。
そう、オートバイ乗りでコケた経験のある人間なら、誰でも経験するであろう事故時のスローモーション状態(正確な名称は知らない。)。
御多分に漏れず、この俺も今まで何度かオートバイで転倒した際に経験している(林道での肋骨4本骨折時は失神したので記憶なし)。
このスローモーション状態は、おそらく脳の防衛反応じゃないかと考えている。
転倒する瞬間、このスローモーション状態は1秒あるかないかぐらいの時間。そんな時間に上記のようなことが浮かんだり、周りの状況を客観的に見渡すことができたりするのである。
余談だが(この余談が多過ぎるから長文駄文になるんだよね)、大学時代の夏休み、400㏄のオートバイ(スズキGSX400FSインパルス)で名古屋から大学のある大阪へ戻る際、ダンプの後ろを走っていたら、粘土やら土を満載した荷台から50cm四方の粘土の塊が目の前に落下してきた。
もうブレーキもかけられない距離だったので、約時速80kmの速度で前輪がその年度の塊に乗り上げた。
前輪が乗り上げる直前から例の「スローモーション状態」になったんだよね。
アスファルトの上を滑っていく俺と、その前を火花を散らしながら滑っていく俺のオートバイ。そして、何と、対向車線をこちらに向かって走って来る軽自動車を運転しているおばさんの目を見開いて驚く表情もはっきり見えた。
そりゃあおばさんも驚いただろうよ。火花を散らしながらオートバイが自分に向かって滑ってくるんだからさ(笑)。
幸いオートバイは急ブレーキを踏んだおばさんの軽自動車の前で止まり、俺も無傷で済んだが、オートバイはフロントフォークがねじれてしまった。
タイヤはまっすぐなのにハンドルが45度ぐらい曲がっていた。
現場が三重県四日市市近辺だったので、大阪へ行くよりも名古屋へ戻った方が断然近いので、45度曲がったハンドルで名古屋へ戻ったけどね(笑)。
何とか転倒せずに止まった俺は、どうしてこんなことになったのか納得がいかず、Uターンして滑った場所に戻った。
戻って道路を見ると、確かにタイヤの走行跡が残っていた。
そして、「何でこんなところで滑ったんだ?」とオフブーツの底をタイヤ跡に乗せるやいなや、ズッルーと滑った、というかヌルヌルぅ~といった感触が。
オイルのようなものではないのだが、何だか「もずく」が落ちているような感触。
そう、「海藻のヌメリ」というのが一番妥当な表現だ。
そのブーツ底の感触を感じ取った瞬間、「こりゃ滑るわな~」と声に出してしまった。と同時に、「こんなん分かるか~」とも。
濡れているのは見えていたが、まさかこんなヌメリがあることまでは認識できなかった。
もちろん、こんなところに海藻があるわけはなく、植物から排出される液体か、それと混ざった何かだろう。人工物ではないはずだ。
そんなこんなで九死に一生を得た俺は、それまで以上に濡れたコーナーで臆病になりながら県道603号線を下った。
こんな状態なら未舗装林道の方がよっぽど安全で走りやすいじゃねえかよ!
ふとガードレールの横を見ると、そこにはお地蔵さんが・・・。
思わず「ありがとうございました。」とつぶやいてしまった(笑)。
その後同じような目に遭うこともなく、何とか標高の低いところまで下って来たところで、川岸が見える枝道を発見。アブがいないことを祈りながら川に近づいた。
サラダチキンと糖質オフパンの軽い昼食をとり、一服終えたらまた走り出す。
ほどなくして集落が現れると、国道42号線との合流地点が見えてきた。
県道603号線、大杉谷海山線。落石よりも「道路のヌメリに注意」だろ(笑)。
帰路をどうするか迷ったが、国道42号線をそのまま走って紀勢道紀伊長島ICから高速道路で、というのは少々面白みがない。国道260号線の海沿いを少し走って帰ろうのルートに決めた。
しばらく国道260号線を走って、何度も走った県道22号線を駆け上がる。
ここは旧道があり、旧道の方が風情があってよい。新道のトンネルの真上に旧道のトンネル(隧道)が通っているので、隧道前の広場でいつも休憩している。
しっかし、新道トンネル南側脇から旧道に入ってすぐのところに真新しい下の標識が・・・。
なんと、封鎖!どうして?何で封鎖しちゃうのよ!南伊勢町さんよ!
その後、伊勢自動車道玉城IC⇒亀山スマートETC出口⇒フラワーロード⇒県道各種⇒伊勢湾岸道みえ川越IC経由で17時ちょうどに自宅着。
、走行距離407km。
ちなみに燃料がリザーブに切り替わったのがこけそうになる少し手前付近。
そして、紀北町に出て国道沿いのJAスタンドで給油。
8.7Ⅼ入ったが、スーパーシェルパ(2004)のガソリンタンク容量は「9.0Ⅼ(!)」。あと0.3Ⅼしかなかったのね(笑)。
ということで、5回に小分けした連載となってしまったツーレポを終えたいと思う。
お付き合い、ありがとうございました <(_ _)>
5 throughts on "1ヶ月ぶりのライドであわや転倒!?三重県道603号線(大杉谷海山線)水吞峠 最終章"