翌朝はセットした携帯のアラームで5時起床。前夜21時のNHKニュースが始まったぐらいに寝てしまったのだが、アラームだけはセットしておいたんだな。いい心掛けだ(笑)。
さて、朝食付きのザ・ビジホテだし、まずは軽く居室でコーヒーでも入れて飲むか。その前にせっかくなんで一風呂浴びてね。
糖質セイゲニスト(糖質制限実践者)にはほとんど食べるものがない朝食バイキング。和食者には醤油・砂糖で味付けされた惣菜がこれでもかと並んでいたが、俺には上記画像が精いっぱいのメニュー(笑)。
それはそうと、「ゆで卵」と掲げられたカゴに入っていた暖かい卵を取って食してみようとしたところ、割った瞬間にドロ~っと中身が…。
あれ?俺って生卵取った?でも暖かいしな…。性懲りもなく同じカゴから暖かい卵をさらにもう一つ取り、座席に戻ってパンッ!あれれれ…?また中身がドロ~っとね(笑)。まさか、これが和歌山県新宮市のゆで卵ではあるまいに…。
結局、ほとんど生の卵を2個グビッ!と「飲んだ」のと同じになってしまった。何だか朝からモリモリッ!
今思えば、もう一つの「生卵」と書かれたカゴの方を試してもよかったのかな、と。給仕のおばちゃんが卵の札をあべこべにしてしまった可能性もあるからね(笑)。
まあ、それにしても給仕のおばちゃん、まんま「おかあちゃん」って感じだったよ。こういった安いザ・ビジホテは、工事関係の長期滞在者が多いんだよね。今回も作業着姿の人々が米飯を茶碗超大盛りにして食していたからね。俺なんか糖質制限初めて丸2年を過ぎたものだから、もう米や甘い味付けの惣菜はまったく欲しいと思わないどころか嫌悪感さえ覚えてしまうので、ちょっと見ているだけで食欲減退気味になってしまった。加えて「この人たち近い将来糖尿病とか大丈夫かな。糖尿病だけじゃなくて、その他の疾病もなぁ…」といらぬお世話をしてしまった。
さて、身支度を終えて地下駐車場へ。昨日先客として止めてあったホンダ氏もまだ駐車中。おお、俺の方が早かったか、と荷造りを始めると、地上道路からのスロープを下りてくる初老の(失礼!でも俺より年上っぽかった)男性が現れた。「おはようございまーす!」と声も大きく元気がよろしい。
お互い今日はどこへ行くのか、どこから来たのか等を情報交換したが、このホンダ氏、昨日は朝3時に「岡山」を出発してここ新宮市までたどり着いたとのこと。岡山でっせ、岡山(この時初めてナンバーを拝見した)!しかも午前3時!どう見ても俺より年上だから、おそらく60代前半だと思われるが、どうしてどうして体も大きくてガッチリしている。
何だろう、結局今の日本の男たちで元気がいいのは、50代・60代のオッサン連中じゃないのかなってね。少なくともオートバイの世界では的を射ているな。
その推定60代のホンダ氏は「今日は勝浦の方を回ってきますわ!じゃあ、お気をつけて!」と先に地上へのスロープを駆け上がって行った。愛車のセキュリティー解除に何度も失敗して(なぜか何度も車輛から数メートル離れてキーフォブを操作していた)甲高いアラーム音を幾度も地下駐車場に鳴り響かせたことは内緒です(なってないか(笑))。
さあ、ホンダ氏が出発してから数分の後、今度は俺が出発。時刻はまだ7時半より前だ。まずはホテル近くのスタンドでガスを満タンにし、国道42号線を東へ。熊野川にかかる橋を左岸へ渡る途中で「三重県紀和町」の標識が姿を現した。
そうか、この熊野川が県境なんだな。和歌山県から三重県に渡ったのか。
昨日ホテルサンシャインを目指して熊野川沿いの国道168号前をラストスパートで南下している時、対岸に俺の興味関心を引く道が見えた。どうせ幅員は数メートルだろうけど、いい感じで自然の中を走ることができるのではないかと考えた。
その予定通り本日は熊野川左岸、三重県紀和町の県道を北上するところから始まっている。
ツーリングマップルに書かれていた言葉も興味関心をそそられた。
「三和(みわ)大橋までの20kmは橋なし。対岸に渡れない。」
走り始めたらずっと20kmは県道走りだよってこと。イイじゃん!全く俺好み(笑)。
それが20kmのフルダートだったら完全にgo to heaven なんだけどな。
しばらく集落などまったくない三桁県道(舗装林道だったかな?)を走り続けると、ポツンと何かの看板が現れた。よく見かける平家の落武者か何かが住み着いた集落跡かなと思いきや、昭和45年に廃校となった小学校跡だった。
毎度のことながら、廃校跡というのは物悲しいね。往時の子どもたちの明るい声が聞こえてきそうで胸が詰まる。
さあ、熊野川左岸を北上し、三和大橋から熊野川を離れ、北東方面へと山間部に分け入っているのだが、どこを目指しているかというと、日本唯一の飛び地である和歌山県の「北山村」。もう何度か訪ねてはいるのだが、せっかくここまで来たのなら立ち寄って特産品の「じゃばら」を購入するしかないでしょう。
毎年のことながら、次男が花粉症でクシャミ・鼻水・目の掻痒感を訴えているんでね。じゃばらは花粉症に効くんだってね。関東の一部の連中が買い占めているらしいよ。耳鼻科で処方される薬では副作用が必ず出現して(どんな薬も必ず出現はするが)、人体に悪影響を及ぼすってことを理解している連中だからね。
決して安い買い物ではないのだけれど、財力にモノを言わせて買い占めるわけだ。健康も銭で買う時代だね(昔からか・・・)。
国道を避けるように県道780号線をトレースして行くと、「丸山千枚田」の標識が現れた。まあ、日本各地に千枚田なる場所はいくつかあるが、どこもよい景観だし、目指す北山村へ方角的にもおかしくないから寄ってみることにした。
この時点で時刻はまだ9時半ぐらい。でも暖かいな。気持ちいい。
丸山千枚田を後にして、再び県道走り。
するってーと必ず枝分かれする林道が出現。
枝道の枝道に分け入って行くと、急に広場のようなところに出た。
ここは○○レーシングクラブなんて廃棄ワンボックスにペンキで書いてあったけど、どうもトライアル練習場のようだ。
再度県道765号線に戻り、さらに進んで行くと「絶景・珍景」との文字が目に飛び込んでいた。しかも林道。若「干ダートの予感も…。
そして3.4㎞を走破してたどり着いたビューポイントとは…
誰もいないものだと勝手に思っていたら、なんと、地元ナンバーの軽自動車に乗ったおじいちゃんが一人でベンチに座っていた。
「どこから?」
「ああ、名古屋です。」
「ほー名古屋かね。名古屋とか大阪からよう来よるよ。今2人飛んだところやで。」
飛んだ…?あ、なるほどね。ここでようやくこの場所が何であるのか気が付いた。
下の様な雲海を見ることができるらしいよ。
さて、登ってきたダートを下り、また県道へ。目指す北山村はもうすぐ目と鼻の先である。ちょっくらいつもの国道とは違ったルートで北山村の道の駅に行ってみようか。
北山川左岸にも道があり、どんつきらしき場所から橋を渡って右岸の国道169号線に出ることができるとガーミンGPS地形図は言っている。
紀和町小森という集落に出たのだが、ここは以前ローライダーS(2017FXDLS)で来てるな。すぐに画像が出てこないので掲載はしないが、小森ダムの付近を覚えていたし、小森の小さな集落の中をVツインサウンドを響かせて走ったことも覚えている。
ちなみに、この紀和町小森集落でちょうど正午頃。
そして、例のつり橋に来た。
北山村の道の駅にて買い物と軽食、一服をして走り出したのが13時前だったかな。この後のルートは「熊野大泊ICから高速人になる」または「いやいやせっかくの一泊なんだからもう少し遠回り」の二者択一だったのだが、すぐに後者となった。
それではどう遠回りをするのか。
はい、あの水呑峠を越えます。越えて大台町大杉谷に出て、そのまま東進して伊勢自動車道勢和多気ICから高速人になろうというプランっす。
県道603号線に入ってからはどんどん高度を上げていく。ここは昨年シェルパ(2004KL250H)で走り、前輪・後輪がズルッと滑って冷や汗かいたところだよね。それでも10年の歳月を経て「復旧開通」された県道を走ることができたので、とても感慨深かったよな。それ以前の同県道の走行というと、ローライダー(2000FXDL)の時代だからね。それこそ20年近く前になってしまうよね。
特に帰路を急ぐわけではないのだが、日も傾いているし、気持ちは若干焦り気味。旅の後半はいつもこんなもんかな。
何て事を考えながらタイトなコーナーをヒラリヒラリとかわしていたら、あるコーナーを曲がったすぐのところでシカさんに遭遇!
普通野生動物に出会うと、というか目前になるまでに相手方が逃げてしまうんだけどね。だけど今回はじっとこちらを見つめて動かなかったんだよな。
距離にして10mぐらいまで近づいていたと思うよ。だけど胸ポケットからカメラを取り出そうとするやいなや、パッ!と動いて、山に入って行った。
ああ、やっぱりダメだったか。それにしても接近遭遇だったな…とカメラをポケットに戻そうとしてシカさんが入って行った斜面を見ると…
おお!こちらを凝視しているさっきのシカさんが!
今度はカメラを向けても逃げようとはしなかったし、シェルパ(2004KL250H)を動かし始めても微動だにしなかった。人間に慣れているのかね。仮に俺が猟師だったら一巻の終わりだもんね。動かない的で10mぐらいの距離なら、俺でも命中するよな。
そもそも第一接近遭遇(そういや懐かしい表現だな…未知との遭遇?)で、カメラを取り出す動作をするまで10mの距離を保っているっていうのが野生動物としては不自然だよな。以前人間にエサでももらったのかな。
無事大杉谷まで下りてきたのが、15時08分。峠から19分で下ってきたね。
さあ、ここからあとわずかであの大杉谷のキャンプ場だ。次男とも来たな。
大台町営バス。約30㎞の距離を、1時間20分かけて運行しているらしい。それでも地域住民にとっては大切な足となっているんだな。
さあ、太陽もさらに傾いてきた。15時36分発の最終バスよりも早く出発しよう。
国道42号線に出れば、伊勢自動車道勢和多気ICはすぐそこだ。IC直前のコンビニで高速走行直前の休憩を取ることにした。
コンビニを出発したのが16時40分頃。あの15時36分発の大台町営バス最終便は、まだ最終停留所の道の駅奥伊勢おおだいに到着していないだろう。
あのこじんまりとした黄色いバスが、トコトコあの曲がりくねった山道を走る姿を想像すると、何だか微笑ましいな。
調べたところ、始発停留所から終着停留所まで、80カ所の停留所に止まるんだよ!もちろん、満員になることなく、ほとんどガラガラ、乗客なしって便もあるのだろうけど、小学生以下は無料、小中学生は片道100円、それ以外は片道300円で地域住民を運んでくれるんだから、文句は言えないよね。だって人口も少なくて税収も少ないのだから。
そんなことを考えながら伊勢自動車道を名古屋に向けてひた走った。
いつも最後休憩する長島ICが17時46分。もうほとんど暗くなっていたね。日没寸前。
そして、日もとっくに暮れた18時頃、無事自宅着となった。
今回その1の冒頭で述べたように、ローライダーS(2017FXDLS)で行くのかシェルパ(2004KL250H)で行くのかを最後まで迷っていたが、シェルパ(2004KL250H)で走って大正解だったと思えた。
排気量はローライダーS(2017FXDLS)1800ccの1/7程度、250ccしかなく、その非力さは否めない。しかし、その軽量さと低速でも粘るエンジン特性、トレールタイヤ等々で抜群の機動力と走破性を持つシェルパ(2004KL250H)は、今回のツーリングのすべての場面で俺のこうしたい、ああしたいという欲求を満たしてくれた。
俺のツーリングスタイルには、ローライダーS(2017FXDLS)よりもスーパーシェルパ(2004KL250H)の方が合致しているのかな(笑)。でも、ローライダーS(2017FXDLS)もいいんだよな・・・。贅沢な悩みっすね。
本日の走行距離351㎞
昨日の走行距離371㎞
総走行距離722㎞